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ダークマター


ダークマターすこしばなし

ダークマター、ダークエネルギー、ダークバリオンと、ダーク(暗い)なものが最先端の宇宙研究界隈で話題になっています。なかでもダークマター、それはなんなのか? どうにもついていけないあなた(私)のために、すこしばかり、おはなししようと思います。なーに、楽しめればいいんです。サッカーだってルールや戦術や選手名や背景など全部しらなくても、ゴールすりゃ勝ちに近づくって知っているだけでも楽しめるでしょー? ま、そんな感じで!

ダークマター、それは「希少なマダガスカル産カカオ」を使った、ながーいブラックサンダー、っていうのはお菓子の宣伝でございます。この商品名、何をねらってなのか、わからないのですが、少なくとも一部の宇宙・科学クラスタ、いやプロの科学者にもオオウケとなり、大先生がお土産で持参したり(もらいました)、研究会でまかれる(いただきました)といったこともしばしば見られました。なぜ、そんなことになったのか? というと「ダークマター」は先端の天文学と素粒子物理学、宇宙論などに渡って探索がされている、ナゾの物質だからなのでございます。あ、もちろんお菓子のことではなく、同じ名前の物質!? のおはなしです。

ダークマター、訳すと、暗黒物質ですねー。ダークマターは、星のように宇宙のあらゆるところに存在していることはわかっています。また、ダークマターは空気のように一様ではなく、濃いところと薄いところがあることもわかっています。なんですが、それがなんなのかよくわからん。というものなんですな。あるのがわかっているのに、見えない、さわれない、それがダークマターです。なんか、薄気味悪いですなー。ちなみに、そんな発見されていないというか、いるというか、わけわからん状態ではありますが、とりあえず名前つけとかなければおさまらねーということで、ダークマターという言葉が使われているんでございます。

しかも、このダークマター、ちょっとあるとかいうレベルじゃないんです。その存在感は、酸素とか水素とか水とかニュートリノとか、ともかく見えるか、さわれるか、存在を感知できる通常の物質 -バリオン- に対して、質量で5倍! はあるとわかっています。で、そんなにあれば、太陽の重力でめぐる地球の軌道だって影響されてまともに計算できないはずなんですが、そこはダークマターなんてない、としても問題ないというか計算できています。ところが、太陽系とかではなく、その1万倍とか10万倍というヒッジョーに大きな天の川銀河(銀河系)全体とか、もっと大きな銀河と銀河通しの動き方や見え方を考えると、ダークマター抜きでは説明がつかないのですな。

このことを最初に言ったのは1934年のスイスのツイッキー(ツビッキー)という科学者です。遠くの銀河の星の動きが、桁違いに高速で、そんなことは理屈にあわず、見えない何かが大量にないとあかんといったんですな。ちなみにこのツビッキーは、その態度が極端で、議論の相手に罵詈雑言をあびせることで有名でした。よく見る紹介写真は上の写真なんです。自分がどう思われるとか気にしない人だったんですな。ただ、最近話題になっている中性子星や超新星についての研究で大きな成果を残した天才でしたし、銀河の観測研究でも名前を残しています。

ちなみに、動きだけ見て、見えない何かがあるといって、成果があがった成功例は前にもありました。海王星の発見です。天王星の動きが理屈にあわないので、見えない何かが引っ張っていると考えた、イギリスのアダムスとフランスのルベリエがそれぞれ計算。ルベリエの予言した位置に、実際に海王星が存在することはドイツのガレが発見しています。1846年のことで、予言位置を手紙で知って、ちょっと望遠鏡を向けただけで発見できてしまった。そのため「計算の勝利」とか「数式が惑星を発見した」とか言って大きなニュースになっています。そのため、ガレが発見者なのですが、予言したルベリエと、同じような仕事をしたアダムスも海王星の発見者とされることもあります。

さて、ダークマターでございます。ツビッギーの提起は、しばらく「ふしぎやねー」でいたのですが、1970年にルービンというアメリカの科学者が、ダークマターの存在に光をあてます。彼女は、いくつもの銀河の回転をしらべ、その回転のしかたが、あきらかに銀河そのものよりずっと大きなものの一部とみなさないと説明がつかないと言い出したのですな。いうならばダークマターの間接的な発見です。2016年に亡くなっていますが、ノーベル賞の有力候補でございました。

その後、ダークマターによる重力のために、遠方の天体が歪んで見えたりすることから、ダークマターの分布が調べられています。存在は明らかだし、それによって宇宙全体に影響が及んでいるのもまちがいない。ただ、正体がつかめない。というのが現状でございますなー。

さて、このわけのわからんダークマターですが、とりあえず「大量にある」「宇宙中にある」「どうも濃いところと薄いところがある」「銀河系の回転には影響している」「でも太陽系の運動には影響していない」というあたりから、いくつかの候補が考えられてきました。ひとつは、非常に暗い天体が大量にあるという考えです。暗すぎて見えないよーというわけですな。ただ、そんなものがあれば、その天体の影響でさらに遠方の天体が「またたいたり」するはずというので調査が行われました。ただ、いまのところ結果はNG。つまり、かなり可能性が低くなっています。

一方で有力と思われているのは、未知の素粒子の存在です。特に、ニュートラリーノという未発見の素粒子が宇宙に大量にあるのではないかと考えられています。発見されていないのに、名前がついているんですな。まあ、なんでも考えればよかろーということではありますが、これも成功体験があるから考えられているんですなー。

電気にプラスとマイナスがあるように、自然界は何かというとバランスをとるようにできています。こういうのを対称性といっていて、まあ、なんとなく自然は、宇宙はそうなっているんじゃないのー。ということですな。ただ、その考えでバランスを欠いているところを調べると、ちゃあんとそれがあるというのがいままでの科学なのでございます。たとえば、電子には陽電子というものがあり、1928年に予言され1932年に発見されています。

そんなことで、ダークマターの正体さがしが行われているのです。で、素粒子であればその辺にもあるはずなので、調べたろうという試みが行われています。が、なにしろいままでつかめないようなものなので、精密な実験が必要なんですな。日本ではXMASS(エックスマス)というダークマターを探す装置が稼働しているのですが、まあ見つかっていません。見つかる見通しがたたないことがわかってきました。装置を大きくして感度をあげることも考えられていたのですが、どうもうまくないのでいったん仕切りなおすというのが先日ニュースになっていました。

ダークマター、実際に発見されれば、ノーベル賞まちがいなしといわれています。その存在は、宇宙の天体分布を変形させ、見えるものより5倍も大量にあるはずなのです。そして、それが天体ではなく未知の素粒子なら、目の前にもあるはずなのです。でもわからない。いやー、それだけでもおもしろい話、そう思いませんか?

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)

科学系キュレーター。

あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。




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