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日本経済のナゾ


雇用者急増でもGDPが減る日本経済の「謎」

雇用に関する統計というと、普通は完全失業率や有効求人倍率を思い浮かべるだろう。これらは比率である。それで「失業率は2%台に改善した」(だから景気がいい)、「有効求人倍率が1.5倍を超えた」(採用が難しい)などという言い方をしている。

たった3カ月で就業者数が141万人も増加!?

ところで比率が同じであっても、分子と分母は変化しているかもしれない。そこで実数はどうなっているかと調べてみると、意外な事実が見えてきた。

失業率は同じで推移していても、わが国の就業者数は今年1〜3月の間に141万人も増えているのだ。

昨年12月時点と比べると、実に2.2%増である。すごいことではないか。日本国内で「仕事を持っている人」「雇用されている人」の実数は図のような推移をたどっている。

ややこしい話を始める前に、まずは言葉の定義をおさらいしておこう。

「労働人口」とは、わが国の生産年齢人口(満15歳以上)のうち、働く意欲と能力を持った人たちのことである。端的に言えば、専業主婦は労働人口には含まれない。ところがハローワークへ行って、仕事探しの登録を行った瞬間に彼女は「失業者」と認定されるようになる。そして仕事が見つかれば「就業者」となる。ちなみに「就業者数」には「休業者」も含まれる。そして労働人口を分母とし、失業者数を分子とした数値が完全失業率である。

さらに「就業者」から、「自営業主」と「家族従業者」を引いたものが「雇用者」(企業・団体・官公庁などに雇われて給料・賃金を得ている者)である。と言えばすぐに想像がつくだろうが、自営業主と家族従業者は農家や建設業が多いので、その数は漸減傾向にある。逆に雇用者数は増え続けている。例えばパパママストアが閉店して、代わりにコンビニが出来たとすると、自営業主が減ってその分だけ雇用者が増える、といった図式になる。

ある時期、筆者は「日本でもアメリカのように、非農業部門雇用者(Nonfarm Payroll)の増減数が景気判断に有用なのではないか」と思いつき、それから月次の雇用者数に着目するようになった。その時点では、まさかこの国で就業者数が増えることはないだろう、と思ったものである。だって人口が減っているんだから。今週発表された2017年人口動態統計によれば、昨年の出生数は94.6万人、死亡者数が134.0万人だから1年で40万人近くも人口が減ったことになる。

就業者数は過去最高、なのにGDPはマイナス成長の謎

ところがですな、今年になってわが国の就業者数は、とうとう1997年6月のピーク時(6584万人)を上回った。1990年代半ばといえば、日本の生産年齢人口がいちばん多かった時期である。それより今の方が働き手は多いというのは、いったいいかなる現象であろうか。つまり近年になって労働参加率が大きく上がったことになる。

もっと不思議なことがある。今年の1-3月期には就業者数が141万人、雇用者数も95万人増えた。働き手が2%以上も増えたら、普通は所得が増えて、個人消費も伸びるはずである。ところがお立ち合い、今年の1-3月期のGDP成長率は年率で-0.6%というマイナス成長であった。そして個人消費も前期比で微減となった。こんな不思議なことがあるだろうか?

内閣府の官庁エコノミストたちも、この現象に思い悩んだようである。5月の月例経済報告の関係閣僚会議資料には、「(今年1-3月期は)、名目総雇用者所得が21年ぶりの高い伸びとなっている」という指摘がある。総雇用者所得は「1人当たり現金給与総額×雇用者数」で計算するのだが、それが前年比3.5%も伸びている。日本全体の所得は確実に増えているはずなのだ。

にもかかわらず、個人消費は横ばいである。それだけ将来不安があって、皆が現金を溜めこんでいるのだろうか。あるいは、物価上昇のために所得が実質で伸びていないのか。しかるにご案内の通り、消費者物価はそんなに上がっているわけではないのである。

内閣府も思い悩んだのであろう。関係閣僚会議資料には、「1-3月期の個人消費が横ばいとなっているが、この要因には天候不順などによる野菜価格の上昇といった一時的な要因、前期に増加したスマートフォンの反動減などがあったとみられる」と書かれている。つまりは一時的な現象であって、いずれ消費は伸びるはずだとしている。おいおい、そんな説明では「腹落ち」がしないぞ、と思うのは筆者だけではあるまい。

そこで増えている働き手の中身について調べてみた。この1-3月期に増えた141万人の就業者は、男性49万人+女性92万人の内訳であり、ほぼ1対2で女性が多い。また年齢別に見ると、もっとも有意に伸びているのは65歳以上のクラスターである。つまり就業者数と雇用者数が増えているのは、「高齢者や女性がどんどん労働市場に入ってきてくれたから」であった。もっと言えば、この間に外国人労働者が増えていることも想像に難くない。

就業者増、雇用者増で労働人口の増加を 

謎解きの答えはこの辺にありそうだ。つまり「失業率2.5%、有効求人倍率1.59倍」といった雇用情勢が続くうちに、労働市場に高齢者、女性、外国人といった「ニューカマー」が増えている。と言っても、彼らは非正規雇用が多いだろうし、所得もそう多くはないだろう。だから、すぐにも個人消費が伸びるという感じではない。それでも全体として働き手が増え、名目総雇用者所得が伸びているのは結構なことである。いずれは個人消費にも反映されるだろう。

何より人口減少が進む日本経済においては、「若い男性」のリザーブはあんまり残っていない。今後はその分を高齢者と女性、さらには外国人に埋めてもらうことが必要になってくる。つまり「就業者」や「雇用者」もさることながら、働く意欲と能力を持つ「労働人口」全体を増やさなければならない。そうでないと労働投入量が頭打ちになり、経済成長が止まってしまうのだ。

そのためには、高齢者が「もう少し働いてもいいかな」と考え、女性が「仕事に就いてみようかな」と思ってもらわなければならない。「働き方改革」を進めて「多様な働き方」を可能にし、この国を「女性活躍社会」にする必要がある。

加えて次なる課題は「外国人」である。6月5日、安倍晋三首相は経済財政諮問会議で外国人労働力の受け入れ拡大を表明した。外国人労働力の総数は昨年10月末時点で127万人。すでに労働人口の2%弱を占めている。

しかるにこの問題、簡単ではないですぞ。現行の「外国人技能実習生制度」だって、ありていに言って評判がよろしくない。本当は日本の人手不足解消策なのに、「これは人づくりに寄与する国際的な援助です」という建て前になっている。にもかかわらず、人権蹂躙のような実態が全国で頻発していると聞く。「家族を連れてきちゃいけない」という制度を最長5年に延長、というのも、いささか非人道的ではあるまいか。

ともあれ雇用に関するデータは、「率」だけを見ていてはイケナイ。ちゃんと「実数」も見ないと本質を見誤る。就業者と雇用者がしっかり増えて、さらには労働人口が伸びるようにしていく必要がある、というのが本稿の結論となる。




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