スーパー秋葉原

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友達より仕事(2)

■会社経費で「飲み屋の支出はゼロ」
【原】コツコツやられて来られたことがひしひしと伝わってきます。トヨタの現場でも「当たり前のことを当たり前にやれ」とよく言われていたことを思い出しました。いわゆる「5S」という整理整頓や清掃って小学生でも知っている当たり前の動きですが、徹底していましたからね。
【宗次】そう、「誰もができることを誰もができないほど続ける」というのは重要ですね。
【原】そう言えば宗次さんも清掃で有名ですよね。
【宗次】ええ、今でも毎日掃除していますよ。朝4時30分くらいに起きて、掃除は90分やっています。
【原】ものすごい早起きですね。
【宗次】以前は3時55分起きで「日本一の早起き」を自称していたんですけどね(笑)
【原】ココイチの経営をしている時は夜のお誘いも結構あったんではないでしょうか?
【宗次】ありましたね。でもクラブ・スナックは一回も行ったことありません。会社の経費のなかで飲み屋の支出はゼロでした。
【原】飲み屋の支出がゼロ。すごい。
【宗次】でも夜遅くまで仕事することはしょっちゅうありました。一番多かったのは店舗が気になっちゃって帰れないことですね。1軒見に行ったらもう1軒、と気になってなかなか家に帰れませんでした。
【原】さすがの現場主義ですね。店舗間の移動は運転手さんによる送迎ですか?
【宗次】いえ、車でしたが自分で運転していました。
【原】ご自身で! では、車内ではクラシックでも流しながら運転されていたんでしょうか。宗次さんと言えば専用のホールを作ってしまうほどクラシックがお好きで有名ですものね。
【宗次】いや、車のなかでクラシックも聞いたことが無いですね。完全に遮断していました。その代わり、会議中の音声テープや朝礼の音声テープを車内で聴いていましたね。
【原】わあ、これが「超現場主義」というやつですね。
【宗次】まあ、常に仕事が気になっていましたので。それぐらい経営って面白いですよ。
【原】ある意味、ものすごい狂気的ですよね。でも、ベンチャーのトップって総じて何かにとりつかれたように狂気的ではありますよね。
【宗次】そうかも知れません。だから経営者が「休日出勤」や「残業時間」というのを気にするのはおかしいですよね。全方位に目を向けなければなりませんから時間なんて幾らあっても足りません。極論ですが、休みが欲しかったら、社長になるなということです。
【原】だから早起きにもなる、と。先ほどの「誰もができることを」というのに早起きも含まれますものね。
【宗次】そうですね。私は「通勤ラッシュ」というものの意味が分からなかったんですよね。
【原】「なぜみんな同じ時間に集中して電車に乗るのか?」ってことですよね。確かに。
【宗次】なにか私には分からない喜びでもあるのでしょうか?(笑)
【原】いや、無いと思います(笑)。トヨタの現場でも「現状を常に否定して最善の方法を探求していく」という考え方が当たり前でしたから、私も早くから通勤ラッシュは避けるようになりましたね。
【宗次】なんで皆、もうちょっと早いのに乗らないのでしょうかね。今の時代、朝7時くらいならあいているお店も結構ありますものね。
■やるまでは簡単に考える。始まったら真剣に
【原】疑問に思ったことや仮説を立てたことをすぐに行動で確認していく、という動きは重要で、トヨタの現場では「巧遅より拙速」とよく呼ばれていました。拙くてもいいから速く動いて仮説の検証をしていこう、と。
【宗次】速く動く、というのは大事ですね。私も経営者としての重要な能力に「せっかち」というのがあると思っています。
まずやること。
【原】拙速とせっかち、似ていますね。
【宗次】速く動くと失敗するし、腹が立つことも多いんだけれども、「早めに結論が出る」ということが何よりのポイントですよね。結論が出れば対応できますから、おっとりよりもせっかちです。ビジネスなんて、やってみないと分からないことばかりですし。
【原】トヨタのショールームでは、お店でよく集客施策を考えたりするのですが、その集客アイデアも「まずやってみよう」という考えですね。やりながらお客様の反応を見て修正していこう、と。ところが多くの企業では企画段階でしっかり固まらないとゴーサインが出ないというパターンがほとんどみたいですね。
【宗次】まず動いてほしいですよね。それから、行動の前提となる「目標」を持ってほしいと思います。若者に対して「夢を描け」とかよく言われますが、夢なんて見ていてもただ見ているだけで終わってしまう。今年はどうしたい、とか今週はどうしたい、とか具体的な目標達成の連続で夢というのも達成できるわけです。
【原】今の世の中は変化が激しいので長期的な目標設定がしにくくなっていますしね。
【宗次】目標を設定するということについての姿勢は今も昔も一緒だと思います。ただ、今の時代は楽しいことが多くて流されてしまいがちでしょうね。手元のスマホを開けば楽しいことが一杯ですものね。どうでもいいような情報にまでアクセスしやすくなってしまっているので自分をコントロールすることが難しくなっているのは確かですね。
【原】そういった意味では、宗次さんは着実にご自身の目標をクリアされていますね。ココイチを手放した後は、ずっとお好きだったクラシックで事業をされていらっしゃいます。これは長期的に設定されていた目標だったんでしょうか。
【宗次】いえ、行き当たりバッタリの成り行きなんですよ。
【原】そうなんですか、てっきりココイチ時代から「好きなことを仕事にするぞ」ともくろんでいたのかと。
【宗次】引退した時は何も考えていなくて、引退した翌々日に「さあ何をやろうか」と考えました。福祉とクラシックに関心がありましたので、自宅でサロンコンサートをやることになったのですが、名古屋にたまたま土地があって買っていったらあれよあれよとコンサートホールを創ることになったのです。
【原】はじめからコンサートホールを創るつもりではなかったんですね。
【宗次】そう、行き当たりバッタリです。ココイチの前にやっていた喫茶店も、ココイチも、やるまではいつも簡単に考えてある日突然、行動するんです。そして、やり始めてから真剣に向き合って考えるんです。
【原】まさに拙速、いや「せっかち」でやってこられたと。
【宗次】事前にいろいろ考えすぎて動くことをやめてしまうのではなく、まずやってみることですね。そうすると、やりながら鍛えられていくはずです。ただし、中途半端に動くのではなくて、自分の身をささげるつもりで全力を出し切ることが肝心ではないかと思います。
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宗次 徳二(むねつぐ・とくじ)
カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)創業者 1948年石川県生まれ。67年愛知県立小牧高等学校卒業。同年、八洲(やしま)開発株式会社入社。70年大和ハウス工業入社。73年岩倉沿線土地開業。74年喫茶店バッカス開業。78年カレーハウスCoCo壱番屋創業。82年壱番屋設立、代表取締役社長に就任。98年壱番屋代表取締役会長就任。2002年壱番屋創業者特別顧問就任。著書に『CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり』(日経ビジネス人文庫)、『夢を持つな! 目標を持て!』(商業界)などがある。
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(壱番屋創業者特別顧問 宗次 徳二、プラスドライブ代表取締役 原 マサヒコ)



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