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高橋一生


高橋一生、『直虎』政次への思いを語る

「“もう死んでもいい”って思えるくらい」


「約1年間、ずっと撮影してきたので、クランクアップの日は感慨深いものがありました。政次という人物と寄り添った時間が長かったので、いまだに思考が彼と同化しているというか……。終わった、と自分に言い聞かせても感覚がまだついてこない状態です」


NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』で主人公・直虎(柴咲コウ)を陰で支え、井伊家を守るためどれだけ恨まれようとも、信じる道を歩き続けた家老・小野政次。そんな彼を演じてきた高橋一生(36)。


「クランクアップの翌日、お風呂に入っているときに“そういえば終わったんだ……”と思ったら寂しさがこみ上げてきて。ずっと政次のことを考えながら、お風呂に入ってました(笑)」

大河ドラマ出演は5作目。とりわけ『軍師官兵衛』(2014年)では、1年以上の長いスパンで撮影に臨んだ経験のある高橋だが、今回は特に思い入れが強いという。


「『直虎』の現場では、これまで俳優としてお芝居をさせていただいてきた中で、“今が最高”と感じた瞬間が何度もあったんです。言葉が的確かはわからないけれど、“もう死んでもいい”って思えるくらい(笑)。


その最たるものが、直親(三浦春馬)と今生の別れになった11話(3月19日放送)。直親、次郎さん(直虎)、政次の3人が井戸を囲んで話すシーンを演じていて、このままずっとこの時間が続けばいいのにと思っていました」


子役たちが初めの4話までで築いてきた、3人の幼なじみの絆(きずな)。

年月が流れ、このシーンで幼少期の“思い”が表現できた実感があるという。


「演出の方が政次の幼少期には能面を背負わせたいと言ってくださって。亀(直親)は笛、おとわ(直虎)は歌のように経を唱えるし、鶴(政次)が能面というのはそれぞれの対比としておもしろい、と思っていました。能面は見る角度や、人によって表情が変わるんです。表情をフラットにすることによって、見ている方にどれだけ政次の感情が伝わるかをやらせていただいた気がします」


31話(8月6日)、今川によって取りつぶされた井伊家に代わり、(今川の)城代として井伊谷を治める立場になる政次。歴史では、井伊谷を乗っ取った“悪人”とも伝えられているが……。


「小野家代々の墓は、直虎と同じ井伊家の菩提寺・龍潭寺にあるんです。それだけで小野家自体が底の底まで嫌われていないということが一目瞭然。僕も含めて、歴史を“点”で見てしまっているから、悪人ということになっているんじゃないかと思います。


そういった史実の行間とでもいいますか、間を縫って政次という人物を魅力的に描いてくれた、脚本家の森下(佳子)さんの思いを邪魔しないように演じさせていただきました。もちろん実際に起きたことは変えられませんが、お芝居させていただいている僕としては、現場で作っているものがすべてなんです」


アップしたときの現場は、大騒ぎだった。

「すべて終わったとき、キャストやスタッフのみなさんがわーっと集まってくださって。

ムロ(ツヨシ)さんなんて普段着で走ってきてくれて。直虎さんも走ってきたと思ったら、美術スタッフの男性が直虎の扮装をしていたんです(笑)。そのまま僕の胸に飛び込んできたんですけれど、倒れてしまいそうなくらいすごい勢いで、もうちょっと加減してくれてもよかったんじゃないかと思いましたが(笑)。


でも、それだけみんなが一緒にいられる空間を楽しんでいたのに、そこに政次として僕はもういることはできないんだ、と思うとちょっと寂しかったです」

彼は8月27日の放送で、その役目を終える。第33話のタイトルは『嫌われ政次の一生』――。


「このタイトルを聞いたとき、“ああ、そういうことなのか”と。最後まで嫌われ政次でいようとしたんだ、って思いました。僕は彼の生き方は美しいと思います。寡黙(かもく)を貫き、いちばん親しい人でも何を考えているかわからないくらいの人間が僕は好きなので(笑)。


僕がしてみたいお芝居と、政次という役がちょうどリンクする部分もあったので、今、彼に巡りあえて約1年間ともに過ごせたことは本当に感謝しています」


■それ、もっと疲れない?

大河ドラマの収録は終わったが、ほかにも多くのオファーを受けている高橋。趣味の登山に行けるような、夏休みはとれそう?

「いつもの夏より休みがないと思います。10月期の月9『民衆の敵』の撮影も入っていますし、次回の朝ドラ『わろてんか』の撮影も始まっているので、大阪と東京を行ったり来たりしています」

忙しいときの気分転換は何している?

「やっぱり自転車です。この前も半日休みがあったので、120キロくらい走ってきました。都内から奥多摩を往復するとこのくらい走れます。自転車に乗っているときは“無”になれるんです。僕、禅もやるんですけれど、まさにその境地です」




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