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あれから2年


<川崎簡易宿泊所>11人死亡火災から2年 街に変化と停滞
廃業し更地になった簡易宿泊所跡の前を歩く通行人
死者11人を出した川崎市川崎区日進町の簡易宿泊所の火災から、17日で2年を迎える。全焼した2棟を含め、簡宿街に軒を並べた3階建て構造の木造宿泊施設は、違法部分の使用禁止などで廃業が相次ぎ、くしの歯が欠けるように更地になった場所もある。羽田空港に近いことから、訪日外国人の宿泊客誘致を検討する施設もある一方、「死ぬだけのお荷物だから」などと転居を拒む高齢入所者もいる。変化と停滞が混在する街の今を追った。
「転居しやすい人は既に出た。人が減ったのは間違いない」。市の転居支援事業を受託している福祉団体は2年間の人の動きをこう説明する。市内の簡宿入所者の大半は生活保護の受給者。火災直後に入所していた受給者1349人は2年で半数程度に減ったとみられる。火災後、「ついの住み家ではない」と方針を打ち出した市によるアパートや福祉施設への転居支援が奏功したもので、市内の簡宿約50棟も約2割が廃業。残る施設も入所者減に悩む。
また、火災では簡宿街に多い木造3階建て施設の違法性が問題になった。いずれも2階と3階が吹き抜けとなったもので、本来はコンクリート構造にすべきもの。市は3階部分の使用を禁じた。廃業の増加にはこうした側面もあるという。簡宿2棟を廃業した不動産会社役員(69)は「3階を閉鎖して部屋数が減り、利益が出なくなった」と打ち明ける。
一方で、危機をチャンスに結びつけようとする動きもある。安定収益が見込める賃貸マンションに建て替えるほか、羽田空港に近い川崎の地の利を生かし、カウンターバーや催事場を備えた訪日外国人向け宿泊施設への転換を検討する施設もあるという。
ある簡宿の関係者は「労働者を受け入れ、高度成長を支えた簡宿は歴史的役割を終えた」と話した。
しかし、80歳を超えるような高齢入所者の転居が進まない現実もある。30年間住んだ簡宿「よしの」から焼け出され、別の簡宿に移った男性(93)は民間アパート転居の誘いを断った。「転居先の住民は俺なんかが来るのを嫌がるはず。希望がなく、死ぬだけの『お荷物』が入るのは申し訳ないよ」と寂しそうに笑う。
別の簡宿の高齢男性は、生活保護を受けながらのアパート暮らしは肩身が狭いという。「同じ境遇の簡宿仲間と違い、『(受給者は)税金で生活している』という周囲の目がある」とうつむいた。【太田圭介、国本愛、中村紬葵】
【川崎市簡易宿泊所火災】
2015年5月17日未明、川崎市川崎区の簡易宿泊所「吉田屋」から出火、隣接する「よしの」にも延焼して計2棟が全焼し、利用者11人が死亡した。市消防局は16年2月、吉田屋の玄関付近からガソリン成分を検出したとして放火との判定結果を公表、神奈川県警は失火と放火の両面から捜査している。



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